【映画感想】ラ・ラ・ランド
個人的評価:★★★★★★★☆☆☆
夢を見続けること輝き続けることの過酷さと、耳に残る楽曲の数々
ちょっと今更感はありますが、観てきました。
デミアン・チャゼル監督の前作「セッション」が結構面白かったので、本作も気になってはいましたが、ミュージカル映画にあまり馴染みがなかったこともあって、なんとなく機を逃していました。
が、結果的には本作も大変楽しめました!
一向に進まない車中でみな思い思いのBGMをかけて過ごす中、ある女性が
口ずさんだ歌を皮切りに一転、その場にいた全員が一斉に踊りだします。
このシーンの唐突さ、高揚感、完成度に正直私は圧倒されました。
曲調も役者のダンスも色彩も底抜けに明るいのに、歌詞はどことなく悲哀感がある、
非常に印象的な曲です。
題名の「ラ・ラ・ランド」の別意でもあるロサンゼルスでは、誰もが皆夢を追いかけているけど、
果てしなく険しい道程には失敗や挫折ばかり。
それでも新しい一日が始まれば、お構いなしにロスの青空は輝き出す。
落ち込んでいる暇なんてないと言わんばかりに…
本作では、そんなロスで奮闘するたくさんの夢追い人達になかで、
ジャズピアニストのセブと女優志望のミアにスポットをあてて物語が展開されていきます。
決して良い出会いではなかったものの、困難な目標を目指す者同士として
徐々に惹かれ合っていきます。
お互いに刺激し合い、励まし合う理想的なパートナー関係になっていきますが、
セブが旧友のバンドにスカウトされ、信念を曲げて手の届く成功を選択したことを契機に
徐々に二人の関係にすれ違いが生じてきます。
恋愛だけが目的なら、そうした部分は見てみないふりをして、関係を続けていくことも
できたはずです。
でも、二人とも自分の夢にどこまでもストイックであると同時に、お互いがそのことを理解し、
心から相手の成功を祈っているのです。そして、時にそれが重圧にもなっている。
だからこそ、相手が妥協し、夢を諦めてしまう姿を見ていられないし、黙っていられない。
そんなまっすぐでちょっと不器用な二人をいつの間にか応援している自分がいました笑
結末では、二人は見事に夢を叶え、キャリア的な成功を成し遂げます。
しかし、ミアの隣にいるのはセブではなく別の男性。
二人の恋愛関係は終わってしまっていました。
そして、自分の店にたまたま立ち寄ったミアに気づいたセブは、
しばしの沈黙の後、二人の想い出の曲を演奏し始めます。
演奏中、二人の出会いから何もかもが理想的に進んでいたら、というIFの
物語が流れます。
演奏を終え、立ち去るミア夫妻を、微笑みとも哀しみともつかない表情で
セブが見送るところでエンディング。
キャリア的な成功を収め、夢追い人達の坩堝から一歩抜け出したはずなのに、
心のどこかで「これでよかったのかな‥」という思いが残る二人の姿は、
色彩豊かで明るい本作とは裏腹に、手放しでハッピーエンド!とは
言い切れない切なさがあります。
きっと、何かに向かって本気で努力して、成功あるいは挫折した経験のある人、
誰かの夢を全力で応援したことのある人には、本作はすごく刺さるのではないでしょうか。
ストーリー自体に目新しさはないものの、ミュージカルという心情を
歌い上げる演出も相まって、キャラクターの気持ちに入っていきやすい点が
これほど話題を呼んだ一因になってると思います。
毎日がお祭り騒ぎのようなロスを象徴したような明るいスコアから、
愚直に夢に向かって手探りの日々を続けていくセブとミアの心情を
表したスコアまで、名曲揃いです。
そしてその曲を聴くたびに、映画のシーンが蘇ってくる。
ミュージカル映画ならではの楽しみ方だと思います。
思わずサントラ購入してしまいました。
余談ですが、本作には同監督の前作「セッション」で鬼コーチ・フレッチャー役を
演じた、J・K・シモンズがセブが演奏する店のオーナー役で登場します。
しかも、演目通りに演奏しないセブにクビを言い渡す役割で笑
「セッション」と本作にストーリー上の繋がりはありませんが、
自分の思い通りにならない人間に容赦ないフレッチャーの餌食にセブもなってしまったように
見えて、笑ってしまいました。
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夢を見続けること輝き続けることの過酷さと、耳に残る楽曲の数々
ちょっと今更感はありますが、観てきました。
デミアン・チャゼル監督の前作「セッション」が結構面白かったので、本作も気になってはいましたが、ミュージカル映画にあまり馴染みがなかったこともあって、なんとなく機を逃していました。
が、結果的には本作も大変楽しめました!
浮世離れした大都市で夢追う人々の物語
本作は、ある冬の朝、渋滞する高速道路のシーンからスタートします。一向に進まない車中でみな思い思いのBGMをかけて過ごす中、ある女性が
口ずさんだ歌を皮切りに一転、その場にいた全員が一斉に踊りだします。
このシーンの唐突さ、高揚感、完成度に正直私は圧倒されました。
曲調も役者のダンスも色彩も底抜けに明るいのに、歌詞はどことなく悲哀感がある、
非常に印象的な曲です。
題名の「ラ・ラ・ランド」の別意でもあるロサンゼルスでは、誰もが皆夢を追いかけているけど、
果てしなく険しい道程には失敗や挫折ばかり。
それでも新しい一日が始まれば、お構いなしにロスの青空は輝き出す。
落ち込んでいる暇なんてないと言わんばかりに…
本作では、そんなロスで奮闘するたくさんの夢追い人達になかで、
ジャズピアニストのセブと女優志望のミアにスポットをあてて物語が展開されていきます。
理想と現実、成功と妥協
自分のジャズバーを持つことを夢見るセブとハリウッド女優志望のミアは、決して良い出会いではなかったものの、困難な目標を目指す者同士として
徐々に惹かれ合っていきます。
お互いに刺激し合い、励まし合う理想的なパートナー関係になっていきますが、
セブが旧友のバンドにスカウトされ、信念を曲げて手の届く成功を選択したことを契機に
徐々に二人の関係にすれ違いが生じてきます。
恋愛だけが目的なら、そうした部分は見てみないふりをして、関係を続けていくことも
できたはずです。
でも、二人とも自分の夢にどこまでもストイックであると同時に、お互いがそのことを理解し、
心から相手の成功を祈っているのです。そして、時にそれが重圧にもなっている。
だからこそ、相手が妥協し、夢を諦めてしまう姿を見ていられないし、黙っていられない。
そんなまっすぐでちょっと不器用な二人をいつの間にか応援している自分がいました笑
結末では、二人は見事に夢を叶え、キャリア的な成功を成し遂げます。
しかし、ミアの隣にいるのはセブではなく別の男性。
二人の恋愛関係は終わってしまっていました。
そして、自分の店にたまたま立ち寄ったミアに気づいたセブは、
しばしの沈黙の後、二人の想い出の曲を演奏し始めます。
演奏中、二人の出会いから何もかもが理想的に進んでいたら、というIFの
物語が流れます。
演奏を終え、立ち去るミア夫妻を、微笑みとも哀しみともつかない表情で
セブが見送るところでエンディング。
キャリア的な成功を収め、夢追い人達の坩堝から一歩抜け出したはずなのに、
心のどこかで「これでよかったのかな‥」という思いが残る二人の姿は、
色彩豊かで明るい本作とは裏腹に、手放しでハッピーエンド!とは
言い切れない切なさがあります。
きっと、何かに向かって本気で努力して、成功あるいは挫折した経験のある人、
誰かの夢を全力で応援したことのある人には、本作はすごく刺さるのではないでしょうか。
ストーリー自体に目新しさはないものの、ミュージカルという心情を
歌い上げる演出も相まって、キャラクターの気持ちに入っていきやすい点が
これほど話題を呼んだ一因になってると思います。
印象に残る楽曲がすばらしい!
本作を彩るもうひとつの主役はなんといっても印象深い楽曲の数々。毎日がお祭り騒ぎのようなロスを象徴したような明るいスコアから、
愚直に夢に向かって手探りの日々を続けていくセブとミアの心情を
表したスコアまで、名曲揃いです。
そしてその曲を聴くたびに、映画のシーンが蘇ってくる。
ミュージカル映画ならではの楽しみ方だと思います。
思わずサントラ購入してしまいました。
余談ですが、本作には同監督の前作「セッション」で鬼コーチ・フレッチャー役を
演じた、J・K・シモンズがセブが演奏する店のオーナー役で登場します。
しかも、演目通りに演奏しないセブにクビを言い渡す役割で笑
「セッション」と本作にストーリー上の繋がりはありませんが、
自分の思い通りにならない人間に容赦ないフレッチャーの餌食にセブもなってしまったように
見えて、笑ってしまいました。
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