【映画感想】アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場
個人的評価:★★★★★★★☆☆☆
”戦争は変わった”をリアルに感じ取れる佳作
本作の本筋。
軍事作戦というと、歩兵や戦車が現地でドンパチやったり、ジェット戦闘機がミサイル攻撃したり、
というイメージがありますが、現代の戦争においては無人機の運用が広く浸透しており、パイロットは
本国の作戦ルームから無人機を操作し、時間が来れば交代者に引き継ぎ自宅に帰る、という世界になっています。まるで会社員のように。
映画の世界でも、プレデターや本作に登場するリーパー等の無人機が出て来る作品は
珍しくありませんが、無人機による軍事作戦をメインに据えた作品はあまりなかったので、
非常に興味深く観ることができました。
特に印象に残っているのは、虫型ドローン。
動きもかなり虫っぽく、遠目から見ただけでは本物と見分けつきません。
そしてなんと現実の世界では、蚊型ドローンまであるそうです。
現実がSFに完全に追いついてしまってますね。。
一見、チート極まりない無人機パイロットの環境は、しかし血の通った人間にとっては
とてもキツイ職場です。
モニター越しにターゲットを監視し、姿の見えない上司から電話で命令を受け、
それを忠実に実行する。
ゲームのコントローラーを操作するようにミサイルの発射スイッチを押し、
超高解像度のカメラを通して、爆散したターゲットの肉片で死亡を確認する。
無知な私は、無人機パイロットなんてエースコンバットでもやってるような感覚で
高給がもらえる軍人としては悪くない部類の仕事だと思っていましたが、
その考えの浅はかさを思い知らされた気分です。
ラストでは、空爆を実行したパイロットが消耗しきった虚ろな表情で現場を後にするのですが、
その際に上官からかけられる言葉がまた衝撃的。
「帰って少し安め。12時間後にまたここに来い。」
無人機パイロットには、うつ病になってしまう者が後をたたないというデータがありますが、
もし実際の現場もこのようなものなら、それも納得です。
それほど難しいことではありません。
では、ただちにターゲットに対し具体的な行動に出れるかというとそうではありません。
実際には現地国との条約や交戦規定をはじめとするいくつもの法的基準をクリアしていることが
必要になります。
本作でも当初は捕縛作戦でしたが、ターゲットが自爆テロの準備をしていることが確認された
途端に、ミサイル攻撃を行いこれを阻止する、という選択肢が出てきます。
しかし、友好国でミサイル攻撃を行うということの合法性が現場では判断できず、
判断をたらい回しにして委ねる場面が続きます。
作戦指揮を取るイギリス軍の現場指揮官は本国に攻撃承認を求めますが、本国の将校、法務大臣、
内務大臣等が話し合っても結論が出ず、外遊中の外務大臣や総理大臣の意見も求めるべきとなり、
果ては共同で作戦に参加するアメリカの大使や長官も出てくる始末。
とにかく、あらゆる関係者の見解をいちいち確認して100%の担保がとれた状態で、
はじめてアクションを起こすという具合です。
そんなことをしているうちに現場の状況は刻一刻と変化し、その変化を踏まえ
また攻撃の妥当性を議論し始める。。
この不毛さというか、じれったさが自分の会社での会議を見ているようで実にリアル笑
スケールは全然違いますが、結局人間、誰も自分が責任を取るのはイヤということでしょうね。
本作では、一人の少女の命と80人の一般市民の命を天秤にかける決断を迫られるのですが、
現実の作戦でも同じように、あるいはそれ以上に判断が難しい状況が数多くあるのでは
ないでしょうか。
このような緊迫感がずっと続く環境で職務にあたる人々の苦悩やストレスは
想像を絶するものでしょう。
うーん、平和な日本の一般リーマンで良かったのかも。。
ちなみに本作は、スネイプ先生ことアラン・リックマンの遺作でもあり、
イギリス軍将校の役柄を威厳たっぷりに演じています。
彼の姿をもうスクリーンで観ることができないと思うと残念でなりませんね。
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”戦争は変わった”をリアルに感じ取れる佳作
現代空爆作戦の現場模様を垣間見ることができる
「ケニアに潜伏する自爆テロリストの凶行を防ぐため、ドローンによる空爆を実行する」というのが本作の本筋。
軍事作戦というと、歩兵や戦車が現地でドンパチやったり、ジェット戦闘機がミサイル攻撃したり、
というイメージがありますが、現代の戦争においては無人機の運用が広く浸透しており、パイロットは
本国の作戦ルームから無人機を操作し、時間が来れば交代者に引き継ぎ自宅に帰る、という世界になっています。まるで会社員のように。
映画の世界でも、プレデターや本作に登場するリーパー等の無人機が出て来る作品は
珍しくありませんが、無人機による軍事作戦をメインに据えた作品はあまりなかったので、
非常に興味深く観ることができました。
特に印象に残っているのは、虫型ドローン。
動きもかなり虫っぽく、遠目から見ただけでは本物と見分けつきません。
そしてなんと現実の世界では、蚊型ドローンまであるそうです。
現実がSFに完全に追いついてしまってますね。。
無人機パイロットは過酷な仕事
自分は100%安全な環境にいながら、敵を神のごとく監視し、一方的に蹂躙できる。一見、チート極まりない無人機パイロットの環境は、しかし血の通った人間にとっては
とてもキツイ職場です。
モニター越しにターゲットを監視し、姿の見えない上司から電話で命令を受け、
それを忠実に実行する。
ゲームのコントローラーを操作するようにミサイルの発射スイッチを押し、
超高解像度のカメラを通して、爆散したターゲットの肉片で死亡を確認する。
無知な私は、無人機パイロットなんてエースコンバットでもやってるような感覚で
高給がもらえる軍人としては悪くない部類の仕事だと思っていましたが、
その考えの浅はかさを思い知らされた気分です。
ラストでは、空爆を実行したパイロットが消耗しきった虚ろな表情で現場を後にするのですが、
その際に上官からかけられる言葉がまた衝撃的。
「帰って少し安め。12時間後にまたここに来い。」
無人機パイロットには、うつ病になってしまう者が後をたたないというデータがありますが、
もし実際の現場もこのようなものなら、それも納得です。
延々と続く偉い人達の責任転嫁がリアル
無人機や人工衛星といった現代技術を駆使すれば、ターゲットを捕捉・監視することはそれほど難しいことではありません。
では、ただちにターゲットに対し具体的な行動に出れるかというとそうではありません。
実際には現地国との条約や交戦規定をはじめとするいくつもの法的基準をクリアしていることが
必要になります。
本作でも当初は捕縛作戦でしたが、ターゲットが自爆テロの準備をしていることが確認された
途端に、ミサイル攻撃を行いこれを阻止する、という選択肢が出てきます。
しかし、友好国でミサイル攻撃を行うということの合法性が現場では判断できず、
判断をたらい回しにして委ねる場面が続きます。
作戦指揮を取るイギリス軍の現場指揮官は本国に攻撃承認を求めますが、本国の将校、法務大臣、
内務大臣等が話し合っても結論が出ず、外遊中の外務大臣や総理大臣の意見も求めるべきとなり、
果ては共同で作戦に参加するアメリカの大使や長官も出てくる始末。
とにかく、あらゆる関係者の見解をいちいち確認して100%の担保がとれた状態で、
はじめてアクションを起こすという具合です。
そんなことをしているうちに現場の状況は刻一刻と変化し、その変化を踏まえ
また攻撃の妥当性を議論し始める。。
この不毛さというか、じれったさが自分の会社での会議を見ているようで実にリアル笑
スケールは全然違いますが、結局人間、誰も自分が責任を取るのはイヤということでしょうね。
本作では、一人の少女の命と80人の一般市民の命を天秤にかける決断を迫られるのですが、
現実の作戦でも同じように、あるいはそれ以上に判断が難しい状況が数多くあるのでは
ないでしょうか。
このような緊迫感がずっと続く環境で職務にあたる人々の苦悩やストレスは
想像を絶するものでしょう。
うーん、平和な日本の一般リーマンで良かったのかも。。
ちなみに本作は、スネイプ先生ことアラン・リックマンの遺作でもあり、
イギリス軍将校の役柄を威厳たっぷりに演じています。
彼の姿をもうスクリーンで観ることができないと思うと残念でなりませんね。
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