収入の複線化を目指す鉄道員のブログ

現役鉄道員がセミリタイアを目指して収入の複線化を頑張ります。鉄分は薄め。

【映画感想】レッドタートル ある島の物語

個人的評価:★★★★★★☆☆☆☆
      美麗な映像と自然描写はすばらしいが、内容は少し難解な大人のジブリ

レッタ

ジブリ映画だけど、ジブリらしさはない

スタジオジブリ初めて海外と共同で製作した作品で、オランダ出身のアニメーション作家、
マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィットが監督を、高畑勲監督がプロデューサーを務めています。
本作は監督含め制作陣が海外勢のためか、いわゆるジブリアニメとは全くテイストが異なります。
どちらかというと、アート作品という感じ。

登場人物も一言もしゃべりません(叫んだりなどの感情表現はします)。
そのせいか、本作の興行収入はいわゆる「爆死」状態だったそうです。。
思うに、「ジブリ最新作だ!」という触れ込みでいつもの冒険活劇やファンタジーな世界観を
期待した層が見事に肩透かしを食らってしまったということでしょうか。

でもだからといって本作が駄作かというと、そんなことはないと思います。


アニメーションは色彩豊かで美麗

まず、映像はとても美しいです。
本作は無人島を中心とした周辺海域が舞台で、それほど広がりがあるわけではないのですが、
透き通る水や空模様の移ろい、夜の月明かりと波音だけの静寂といった情景描写が
繊細に描かれています。
絵がきれいかどうかは、アニメ映画にとっては死活問題なので、その点では本作は
とても高いレベルに
あると思います。

ただ、日本のアニメ映画と違って登場人物がいわゆるアニメ顔ではなく、
かなりあっさりした顔で描かれているので、好みは別れるかもしれません(タンタンが近いかな)。
The-Red-Turtle-La-tortue-rouge-Pictures-Rotten-Tomatoes

無声ゆえに難解に感じる部分も

前述のとおり、登場人物がセリフを一切しゃべらないので、観客は映像からストーリーを
推測することになります。
そのため、一見すると「え、なんでこうなるの?」と思ってしまうシーンもいくつかあります。
物語の主軸が明示されているわけではないので、人によっては(特に子供は)退屈に感じてしまうかもしれません。
裏を返せば、想像力を働かせることで色々な解釈ができる楽しみがあるともいえます。
おそらくそう意図して構成されているのでしょう。

たとえば視点を変えれば複数の物語があることに気づきます。
・男の無人島での一生
レッドタートルの人間との恋
・息子の成長と旅立ち
・ある無人島での、生命の営み

また、いくつか幻想的で不思議なシーンを挿入することで、現実と幻想の境界が
なんとなく曖昧な雰囲気なのも妄想に拍車をかけているように思えます。
このへん、設定も相まって「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」と少し似ています。
あっちは実写で無声映画ではないですが。

「もしかしたら、この話はすべて遭難した男の妄想で、彼はいまも海を漂っているのかも」
という解釈さえもできそうです。そして本作は、そうした自分解釈を一緒に観た人と
語り合う楽しみ方をするのが正解な映画なのかもしれません。

そして観終わった後は、なんだかさわやかな気分になれる映画です。
 


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